敷金・礼金の違いとゼロ物件のメリットとデメリットについて
「敷金・礼金」は部屋を探しているときに必ずと言っていいほど目にします。
でも、普段使わない言葉なので、何のためのお金なのかわかりにくいですよね。
ここでは、「敷金」「礼金」それぞれの役割について説明し、
引越しの初期費用を節約することが可能なのかについても考えてみます。
敷金・礼金とはどのようなお金なのか?
その違いは?
■敷金とは
「敷金」とは部屋を退去するときに、部屋を借りる前と同じ状態に
戻すため(現状回復)に使われたり、
万が一家賃が払えなかったときの補充に使うためにあらかじめ払っておくお金です。
金額は地域によって違いますが、家賃の1ヵ月分がめやすとなります。
現状回復や家賃の補填などにかかった金額が敷金よりも少ない場合は、
差額が退去時に返ってきます。
「現状回復」とは、部屋を退去するときに、住んでいる間に
汚れたり壊れたりした部分を借りる前と同じ、もとの状態に戻すことを言います。
昔は「現状回復」の範囲がきちんと決まっていませんでした。
そのため、退去時の必要以上のルームクリーニング代や、
部屋の設備を新しくするお金をすべて退去者に請求したりするトラブルも多発しました。
退去時に敷金が返ってこないばかりか、追加で高額な代金を請求されることもあったのです。
現在では法律が定められ、普通に生活している間に
経年劣化した部分については責任はないとされています。
気をつけて丁寧に生活していれば、敷金が返ってくる可能性が高くなります。
敷金の相場は?
だいたい家賃1〜2ヵ月分が現在の敷金の額としては主流ですが、
1ヵ月分が一番多くなっています。
敷金・礼金は、法律で定められたものではなく、地域ごとの慣習でした。
そのため、関西や九州などでは「敷金」ではなく「保証金」という名目で、
家賃の3〜6ヵ月分が一般的だったこともありました。
しかし、インターネットが発達して情報が行きわたるようになったこともあり、
そのような地域差は少なくなってきています。
礼金とは
大家さんに「部屋を貸してもらったお礼」として払うお金です。
お礼金のため、敷金と違って返ってくることはありません。
部屋を借りる対価としては家賃を払っているのに、なぜわざわざ別に「お礼のお金」
を払うのでしょうか?
現在は、部屋の貸し借りは不動産会社を通して行うのが一般的で、
大家さんと入居者が直接やりとりすることは少なくなりました。
しかし、昔は大家さんが直接下宿やアパートを管理していることが多く、
大家さんと借り手の関係が近かったのです。
礼金はその時代の慣習が現在も残っているものと言えます。
礼金の相場は?
礼金の相場も、敷金と同じく家賃の1〜2ヵ月分が主流で、
1ヵ月分が一番多くなっています。
ただ、入居時の初期費用を抑えたいという思いや、
大家さんとの関係の変化などにより、礼金が不要の物件も最近増えています。
敷金・礼金ゼロ円(なし)物件は
本当におトクなのか
何かとお金がかかる引っ越し。初期費用は抑えられるものならできるだけ
抑えたいですよね。
最近では「敷礼ゼロ円物件」という物件も増えてきています。
一見おトクそうに見えますが、実は落とし穴が隠されていると疑ってしまう方は
多いのではないでしょうか。
敷金・礼金をゼロ円にできる仕組み
家賃と異なり、敷金・礼金は必ず支払わなければならないお金ではないのです。
部屋を探している人は少しでも出費を抑えて入居したいと思っているので、
敷金や礼金を不要としたほうが目に留まりやすくなります。
貸し手としても、部屋を空室にしている間は収入がありません。
敷金・礼金にこだわって長く空室にしているよりは、少しでも早く部屋を埋めたほうが
都合がよいのです。
入居者に対してアピールする材料としてのゼロ円、という場合もあります。
敷金は、部屋の現状復帰のためにあらかじめ
敷金ゼロ円(なし)物件の
メリットとデメリット
預けておくデポジットと言えます。
退去するときには多かれ少なかれ現状復帰の費用は必要となります。
そのため、「敷金」という名前ではなくても、退去の際にはルームクリーニング代や
鍵交換代が必要となります。
入居時に必要なお金の出費を抑えることはできますが、その分退去のときにまとまったお金が必要となるのです。
また、表示に「敷金なし」とあっても、実際には敷金分が家賃に上乗せされていることもあります。
礼金ゼロ円物件の
メリットとデメリット
礼金は敷金と違って返ってくることのないお金です。
また、まだ賃貸マンションなどがない時代に、部屋を貸してくれた大家さんへの
お礼として払っていたという歴史を考えると、
現在では払う必要性があまり高くないとも考えられます。
礼金がゼロだからといって、何か不都合なことが生じてしまうことはないようです。
「ゼロ」だけでなく総合的に判断しよう
立地エリアや家賃などの条件のいい物件は、敷金や礼金があってもすぐに
契約が決まってしまうものです。敷金・礼金がなしということは、何かしらのデメリットがあり、人気がないからこそのディスカウントとも考えられます。
たとえば、首都圏の場合、東京都内よりも千葉県のほうが敷金・礼金が不要という物件の
割合が多くなっています。このように、敷金・礼金が不要となっているのは、
交通が少し不便、築年数が経っている、オートロックがない、などのデメリットが
あるからかもしれません。
また、春から秋にかけてのオフシーズンは部屋に新しく入る人が少ないため、
少しでも早く入居者を確保するために敷金・礼金を安くしてくれる可能性が高くなります。
オフシーズンに部屋を探しているときには、気に入った物件の敷金や礼金が
安くならないか交渉してみるのも一つの手かもしれませんね。
敷金がない物件というのは退去時の出費を先送りしているだけとも言えます。
また、敷金・礼金がないからと不便なエリアに住んで、交通費がよけいに
かかってしまっては本末転倒です。
部屋を探すときには、敷金・礼金ゼロ物件のメリットとデメリットをじっくり検討して、
上手に利用できるといいですね。
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