大学の合格発表前に賃貸アパートの仮押さえは出来る?1ケ月後は厳しい?
大学の入学試験を終えると緊張の合格発表。合格が決まったあと引越しをしなければならない人にとっては、近隣のアパートが無くならないかと心配になりますよね。そんな時アパートの仮押さえが出来るという噂をよく耳にします。
実際、合否が出る前にアパートの仮押さえは可能なのでしょうか?キャンセルする際に違約金などは、かからないのでしょうか?
この記事では、合格発表前のアパートの仮押さえ方法についてまとめました。新生活をスムーズに迎える為に役立てて頂ければ幸いです。
【結論】
結論、通常の賃貸アパートには仮押さえという制度がない為、出来ない。
ただし、学生マンションなどの一部で仮押さえ制度を利用できることがある。
一般の賃貸アパートやマンションと学生マンションとでは、システムが異なりますので注意が必要です。それぞれのポイントやメリットデメリットを解説していきます。
そもそもアパートの仮押さえとは何なのでしょうか?
先程、通常の賃貸アパートには仮押さえという制度がない為出来ないと解説しましたが、ではちまたでよく聞く「仮押さえ」とはいったいどのようなことを指すのでしょうか?
(1)賃貸の仮押さえ=「入居申込」
結論から言うと、賃貸の仮押さえとは、賃貸の入居申込書を出した状態のことを指します。
つまり「仮」ではないということです。申込者の心持ちとして「仮」であるだけで、大家さんはその意図を知らない状態であることがほとんどです。
(2)入居申込後にキャンセルはできるの?
では、仮にその大学に行かなくなった場合はキャンセル可能なのでしょうか?
①申込のキャンセルができるタイミング
「仮押さえ」がない以上、その大学に行かなくなった場合は、申込をキャンセルすることになるわけですが、いつまでであればキャンセルが可能なのでしょうか?
結論から言うと大家さんや不動産会社の、入居審査が通るまではキャンセルは可能です。
一般的に申込書の提出をしてから4営業日から1週間程度で入居審査が終わります。
その期間までのキャンセルであればリスクはあまり高くないと言えるでしょう。
なぜ審査通過前までならキャンセル可能と言えるのか
アパートやマンションの賃貸借契約は、諾成契約(口頭での契約)が成立するとされています。
入居申込が「申込者からの意思表示」であり、審査通過の連絡は「大家さんからの意思表示」と言えます。つまり審査通過の連絡を受けた段階で、口頭では契約が成立していると言えるのです。
ただし、賃貸借契約には、入居者を保護する制度として、契約前に契約予定の物件についての「重要事項」を、不動産会社の宅地建物取引士が、申込者に説明し合意を得ることを義務づけています。
「重要事項説明」を聞いて、そんな話は知らなかった、そのような内容では契約できないと、申込者は最終判断をすることが出来るようになっているということです。
そのため、重要事項説明で初めて知った内容で、契約することが出来ないと申込者が判断した場合は、契約をしないという選択をとることが出来ます。ただし、前から説明を受けていた内容を重要事項説明のタイミングで、今更断ることは原則として出来ないと考えた方が良いでしょう。
②契約締結後のキャンセルは解約
契約書の読み合わせを行い、署名捺印をすれば正式に契約成立となります。この時点で、契約金の支払義務、その物件に入居し入居期間中家賃を支払う義務が確定します。
「鍵の引き渡しを受けていない」「契約金を支払っていない」からキャンセル可能という考えは誤りです。契約は成立しているのに、その責任を履行していない状態でしかありません。ですので契約成立後からのキャンセルは出来ません。
賃貸の申込から契約書の署名捺印までの流れと、キャンセル可能かどうかを表にまとめましたのでご確認ください。
③キャンセルする際のリスク
(a)審査が通りにくくなるリスク
申し込みのキャンセルが過去1件でもあると、審査を通さない不動産管理会社があります。その場合、金輪際その管理会社の物件に住むことはできなくなります。
また保証会社もキャンセル履歴をデータベースに保存している為、審査で不利に働く可能性があります。
ここ最近では保証会社の加入が必須である物件が、全体の8割から9割程度まで増えてきています。そして保証会社は保証業協会に加盟しており、データベースを共有していることにも注意が必要です。
キャンセルがあまりにも多い場合、賃貸物件を借りることが難しくなる可能性もあります。十分注意が必要です。
(b)貸主から損害賠償請求をされる可能性がある
何度も解説している内容ですが、審査通過後は諾成契約が成立していることになる為、貸主(大家さん)に実損が生じている場合に損害賠償を請求される可能性があります。
実損が発生するリスクとは、申込時に例えば「エアコンを新品に交換してくれればこの物件に決める」などの設備の変更などがこれにあたります。
将来に向かっての損害まで責任は及ばないというのが判例ですが、実際に申込者の希望により、入居に向けて特別なコストが発生している場合、貸主(大家さん)の損害賠償請求を認める判決が裁判で出ています。この点は最も注意が必要です。
(東京高判 平20・1・31金融・商事判例1287-28)
(c)不動産会社から予期せぬ対応をされることがある
実際に時間も労力もかけてサポートして、急に予期せぬキャンセルがあった場合、不動産会社の担当者は辛いものです。
不動産の仲介は、契約が成立してはじめて報酬を受け取ることができる為、タダ働きになってしまいます。キャンセル理由に正当性があれば、もちろん致し方ないと理解する人がほとんどですが、不動産会社によっては態度を急変させる人もいるかもしれません。注意しましょう。
キャンセルについての詳細は関連記事で説明していますので、併せてご確認ください。
(1)先行申込
まず一つ目が通常の賃貸アパートの「先行申込」をする方法です。
①先行申込とは
先行申込とは、賃貸物件の内見をする前に入居申込をすることをいいます。内見申込と呼ばれることもあります。通常は物件の内見をした後に申込手続きをしますが、退去予定の物件や、新築未完成の物件などで、内見が出来ない場合に先行申込を受付することがあります。
つまり、新築物件であれば「建物の完成」が、入居中物件であれば「退去」が、合格発表の後であれば、仮押さえが出来ていることになるというわけです。これはとても有効な方法です。
②先行申込のメリット
(a)内見してから最終判断できる
先行申込の一番のメリットは、実際に内見をしてから決めるかどうか判断できることです。物件を見てやっぱり違うと感じればキャンセルが出来るのは安心です。
(b)物件の予約が出来る
特に繁忙期は条件の揃った物件は、内見して決めようと思ったら既に他から申込が入ってしまうことも頻繁に起こります。内見申込で優先的に判断できる状態になるだけでも安心できます。
③先行申込のデメリット
(a)原則1件のみ
先行申込は内見後判断が出来るとは言え、基本的には契約することが前提です。仮押さえの気持ちで2件3件と先行申込をすることは原則出来ません。
「だったら複数の不動産会社で1件づつ申込すればいいのでは?」と考える人もいるかもしれませんが、違う不動産会社でも、申込物件の管理会社が同じ場合や、家主が同じ場合、また保証会社が同じ場合などに、複数申込が入っていることがバレてしまうことも十分考えられます。そのような場合、キャンセルする可能性が高いと判断されて審査が落ちてしまうことも。。。
先行申込は1人1件までが原則ということをしっかり覚えておいてください。
(b)あくまでも申込、入居が確約されてはいない
先行申込はあくまでも申込です。絶対に入居できるわけではありません。人気物件では先行申込が複数本入ることがほとんどで、一般的には申込をした順に、一番手、二番手と順番がつけられます。一番手の人がキャンセルになれば二番手が繰り上がるという流れです。
(b-1)順序が入れ替わるリスクがある事情として、先行契約も平行して受け付けている場合があげられます。先行契約とは内見をせずに契約することで、先行申込より優先されます。先行申込をする物件が、先行契約も受け付けているかどうかは、しっかりと確認しなければなりません。
(b-2)順序が入れ替わるリスクがある事情として、交渉をしている場合があげられます。
内見後、一番手、二番手ともに契約意思があったとして、賃料交渉が入っている一番手と、交渉が全くない二番手がいた場合に、二番手の申込が選ばれることは普通に起こります。二番手に交渉がないので、満額であれば契約できますと丁寧に言ってくれればありがたいですが、審査落ちとしてバッサリ処理されてしまうこともありますので注意が必要です。
(C)内見までの間も時間は流れている
先行申込から内見までの期間が1ヶ月後だったとして、実際に内見して気に入らなかったとなった場合、もちろんその期間は経過しています。
入居時期が決まっている場合、短い期間で新たな物件を探し、契約しなければならなくなります。とくに2月3月の繁忙期では1ヶ月の経過は致命的で、めぼしい物件はほとんど契約済みが先行申込済みになってしまっていることも。
先行申込はあくまでも確認内見が出来る正式な申込で、見ないと判断できないというスタンスで申込するにはリスクが伴うと考えるべきでしょう。
先行申込については、関連記事で詳しく解説していますので併せてご確認ください。
(2)学生マンション
二つ目は学生マンションで「合格発表前予約」をする方法です。そもそも学生マンションとは何なのでしょうか?また予約制度の概要についても解説していきます。
①学生マンションとは
学生マンションとは「学生」であることを入居条件とした、学生専用マンションのことを指します。大学や専門学校の近隣にあることが多いです。一般的なマンションと比べ、入居者の年齢が近く、セキュリティを重視されている傾向があります。学生寮と違い、門限などは設けられていない物件も多く、比較的自由度が高いです。
ただし家賃は通常の賃貸物件と比べ割高なケースが多いことも特徴です。
②学生マンションの「合格発表前予約」とは
「合格前予約」とは大学の合格発表前に部屋を仮押さえできる制度で、学生マンション会社が管理する物件限定のサービスです。特徴としては下記の3点があげられます。
(a)合格したら契約することが前提であること
(b)仮押さえ期間の家賃は発生しない
(c)不合格の場合キャンセル料は発生しない
かなりいい制度と言えますね。
③「合格発表前予約」のデメリット
(a)気軽にキャンセルできない
(b)第一志望のみ利用可能
(c)受験番号を事前に伝えなければならない
(d)内見できない場合がある
(e)物件が少ない
④学生マンションのデメリット
(a)家賃が高い
(b)学校を卒業したら退去しなければならない
(c)物件数がそれほど多くない
(d)マナーや騒音が気になることもある
合格前のアパートの仮押さえについてここまで解説してきました。「仮押さえ」は基本的に存在しないこと、学生マンションの場合は、不合格の場合以外キャンセルは難しく、家賃も割高なことが多いこともわかりました。おすすめの部屋探しの方法は空き予定の物件を先行申込することだと思います。それでは当社バレッグス近辺の大学でおすすめの物件をご紹介していきましょう!
最後に・・・
以上、大学の合格発表前にアパートの仮押さえって出来るの? についての記事でした。
スムーズに新生活をはじめるためにはやはり事前準備が大切です。
東急沿線で賃貸物件をお探しの際は是非バレッグスにもお声がけください。
先行申込が可能な物件について知識が豊富なスタッフも多数在籍しておりますので、細かな相談ごとにも、しっかり対応いたします。
それでは最後までご覧いただきありがとうございました。
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