一人暮らしを始めるとき、実際に家賃はいくらだったら生活できるでしょうか?一人暮らしは家賃だけでなく、電気代やガス代・食費など他にもかかる費用がたくさん。無理して高い家賃の物件にしてしまったら、その後の生活が心配です。
この記事では手取り給料ごとに、平均的な生活費をシミュレーションし、適正家賃はいくらかを検証します。物件探しの参考にし、安心な新生活をはじめましょう。
家賃の目安は手取り給料の3割とよく言われます。でもなんで3割なのでしょうか。そもそも手取り給料ってなんなのでしょうか?ここでは手取り給料の内訳や、家賃が手取りの3割と言われている理由について解説します。
毎月会社から支払われる給料には総支給額と(額面)と、実際に支払われる手取り給料には差があります。総支給額(額面)とは、基本給・残業代・通勤手当、資格手当などの各種手当の合計金額を指します。一方で手取り給料とは総支給額から、健康保険・厚生年金・雇用保険・所得税・住民税が控除された金額、実際に使うことが出来るお金のことを言います。
会社から支払われる給料の例です。名目は会社によって異なりますが、残業手当が基本給に含まれる内容の労働条件もありますので確認が必要です。
給料から控除される社会保険や税金は以下のものとなります。金額の算定はそれぞれ違いがありますが、一般的に総支給額(通勤手当は原則除く)の15%から25%が控除されると言われています。
では実際に手取り給料はいくらくらいでしょうか?特にはじめてお給料をもらう人は参考にしてみてください。先程、記載した通り控除額は総支給額の15%から20%程度といわれていますので幅をとって記載しています。
では何故手取りの3割と言われているのでしょうか?それは家賃がそれ以上高いと生活費を圧迫してしまうからです。2021年度の単身世帯の家計調査(総務省2021家計調査より)のデータを見ると食費や光熱費、通信費や日用品など、1か月の生活費は95,237円ほどとされています。衣類4,672円外食・交際費で2万円強など、とてもじゃないけど収まらないという人も多いのではないでしょうか。手取り給料から、家賃を除いた金額で生活費を支払い、その他、欲しいものや旅行の為に貯金なんて考えると3分の1でもかなり高い気がしてきますよね。単身世帯の家計から節約出来る部分、どうしてももっと費用がかかる部分など、自分自身の家計について見直すことも大切です。
参照 総務省:2021年単身世帯 家計調査 家計収支編より
ここまで、手取り給料の説明、生活費についての説明をしてきました。それではいよいよ家賃から逆算した、手取り給料と、生活費のシミュレーションをしていきましょう。
それでは早速、家賃6万円の物件のシミュレーションをしてみましょう。 家賃6万円の物件は逆算すると、手取り給料20万円が約3割にあたります。先程の単身世帯の生活費を基にシミュレーションすると、収入20万円に対し、家賃を含めた支出が15.5万円で手残り4.4万円程度あります。外食費や交際費に2万円程度見ているとしても、残金が4.4万というのはなかなかに不安です。
家賃6万円・手取り20万円・額面23.5万円 年収330万円のシミュレーション
それでは家賃7万円の物件のシミュレーションをしてみましょう。 家賃7万円の物件は逆算すると、手取り給料23.3万円が約3割にあたります。先程の単身世帯の生活費を基にシミュレーションすると、収入23.3万円に対し、家賃を含めた支出が16.5万円で手残り6.8万円程度あります。このくらい毎月残金があれば少しだけ安心です。
家賃70,000円・手取り23.3万円・額面27.4万円 年収385万円のシミュレーション
それでは家賃8万円の物件のシミュレーションをしてみましょう。 家賃8万円の物件は逆算すると、手取り給料26.6万円が約3割にあたります。先程の単身世帯の生活費を基にシミュレーションすると、収入26.6万円に対し、家賃を含めた支出が17.5万円で手残り9.1万円程度あります。このくらい毎月手残りがあると、将来に向けた貯蓄も可能です。
家賃8万円・手取り26.6万円・額面31.3万円 年収440万円のシミュレーション
それでは家賃9万円の物件のシミュレーションをしてみましょう。 家賃9万円の物件は逆算すると、手取り給料30万円が約3割にあたります。先程の単身世帯の生活費を基にシミュレーションすると、収入30万円に対し、家賃を含めた支出が18.5万円で手残り11.5万円程度あります。このくらい毎月余裕があれば将来に向けた貯蓄も可能です。
家賃9万円・手取り30万円・額面35.3万円 年収500万円のシミュレーション
それでは家賃10万円の物件のシミュレーションをしてみましょう。 家賃10万円の物件は逆算すると、手取り給料33.3万円が約3割にあたります。先程の単身世帯の生活費を基にシミュレーションすると、収入33.3万円に対し、家賃を含めた支出が19.5万円で手残り13.8万円程度あります。家賃が10万円を超えてくるとマンションの購入とどちらがよいか検討しはじめる時期です。購入費用の貯蓄も具体的に検討すべきでしょう。
家賃10万円・手取り33.3万円・額面39.2万円 年収550万円のシミュレーション
それでは家賃12万円の物件のシミュレーションをしてみましょう。 家賃12万円の物件は逆算すると、手取り給料40万円が約3割にあたります。12万円もの家賃を支払う場合は30㎡以上の物件が多くなる為、ここからは二人世帯以上の生活費を基にシミュレーションします。収入40万円に対し、家賃を含めた支出が29.1万円で手残り10.8万円程度となります。入居人数が増えると当然生活費があがります。また物件が広くなれば同じように生活費が上がって来るため、賃料が高額な物件になると、賃料だけでなく支出全体が高くなると想定すべきです。 参照:総務省、2021年二人以上の世帯 家計調査 家計収支編より
家賃12万円・手取り40万円・額面47万円 年収660万円のシミュレーション
それでは家賃15万円の物件のシミュレーションをしてみましょう。 家賃15万円の物件は逆算すると、手取り給料50万円が約3割にあたります。1LDKということで、ここでは二人世帯以上の生活費を基にシミュレーションしています。収入50万円に対し、家賃を含めた支出が32.1万円で手残り17.8万円程度。生活費の負担と家賃の負担が両方大きくなってきます。
家賃15万円・手取り50万円・額面58.8万円 年収820万円のシミュレーション
賃貸の入居審査では家賃の支払い能力がまず判断されます。一般的には年収の1/40から1/48、月収の1/3から1/4程度が審査のボーダーラインになることが多いと言われています。ただし支払い能力は年収だけで判断されるわけではなく勤務先や勤続年数、家族構成や年齢など総合的に判断されます。 家賃7万円の物件は年収280万円から336万円、月収(額面)で23万円から28万円程度が審査の目安。 適正賃料をクリアしていれば、入居審査の所得はクリアできます。※二人以上の入居で、契約名義人を二名とした場合、給料を合算して審査できる場合があります。
これまで家計調査のデータを基に単身者のシミュレーションをしてきました。まずは実際にかかっている費用を洗い出してみましょう。毎月洋服に使っている費用、飲み代に使っている費用、ランチに使っている費用など大きくズレがあるはずです。ランチは弁当に変える、飲みは月に一回までなど急に全部を変更することは出来ないはずです。節約は無理のない範囲で、余裕をもって計画を立てるようにしましょう。
固定で支払っている料金の見直しは有効です。携帯アプリで、使用していないのに月額料金を支払い続けているもの。重複している動画配信サービス、ほとんど行っていないジムの費用。携帯の利用料など、一度しっかり見直しをしてみましょう。無駄な固定費をかなり抑えられるかもしれません。
家賃の目安にボーナスは加算しないようにしましょう。ボーナスは市況によって支給が不安定なこともある為、ボーナスを当てにして毎月の費用の算段をしてしまうと、ボーナスが出ない場合に大きな負担となります。また賃貸契約は2年に一度更新があり、更新の際は1ヶ月から1.5ヶ月程度の更新料が発生します。日頃の貯蓄も大切ですが、ボーナスは更新料に当てる為に貯金しておくと急な出費にならず安心です。
以上、家賃の目安についての解説でした。ポイントは一般的な家計を見て、改善出来る部分は改善することと、無理なく自分自身の家計をしっかり立てること。その上で家賃の目安を決めることができれば、予想外に費用がかかって苦しい思いをすることがなくなるはずです。
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