実家暮らしの時、いつも癒してくれていた愛するペット。一人暮らしを始めて数年経ち、やっぱりペットと一緒に暮らしたい、そう思っている人も多いのではないでしょうか。
賃貸物件でペットを飼うのは大変、一人暮らしならなおさら。物件探しの不安から、入居期間中のクレーム、退去時の原状回復など不安なことはいろいろあると思います。
一人暮らしで猫や犬を飼う為の飼育費、物件探しの現状、契約時の注意点を解説していきます。一人暮らしでペットの飼育を検討されている方は是非参考にしてみてください。
まず前提として一人暮らしでペットが飼える物件はめちゃくちゃ少ないです。身も蓋もないことを言いますが、とても大切なこと。
「ペットも飼えたらラッキー」みたいな気持ちでは絶対にみつけられません。「ペットと一緒に暮らすこと」を最優先で探さなければなかなか見つけられない、そのくらいの特殊条件だということを念頭に入れましょう。
一人暮らしペット可物件の実情(1R・1K) では一人暮らしでペットの飼える物件はどのくらい少ないのでしょうか?ポータルサイトで募集中の情報数から検証してみました。※調査日2022/09/29 15:00 ●SUUMO 「東京23区1R1Kペット相談可」の物件数 825,259件中、156,926件で 19.02% ●HOMES 「東京23区1R1Kペット相談可」の物件数 143,772件中、 23,088件で16.05%
●athome 「東京23区1R1Kペット相談可」の物件数 160,738件中、24,125件で 15.01%
1R・1Kで掲載されている物件の15%から19%がペット相談可能な物件でした。 ペットを飼うことを条件にすると物件数はかなり絞られることが分かります。鳴き声などの音の問題、匂いやキズを直す現状回復の問題など、一般の賃貸物件よりも多くのリスクをはらむ為、どうしても物件が限定されてしまうことは前提におきましょう。
また一人暮らしで犬を飼う場合と、一人暮らしで猫を飼う場合で内容が変わってきます。 大手ポータルサイトでペットの種別まで指定できるのはathomeだけなので、athomeの検索でペットの種別を確認してみました。
athome 東京23区・1R1K 160,738件 ペット相談可 24,125件(15.01%) 大型犬相談可 105件 全体の0.07%
小型犬相談可 5,594件 全体の3.48%
猫相談可 5,621件 全体の3.50%
区分未指定 12,805件 全体の7.97%
1R1Kで大型犬はさすがに‥の0.07%、小型犬で3.48%、猫で3.50%という結果でした。犬猫の区分けがされていない物件が7.97%という結果でこればかりは確認しなければわかりません。経験則ですがペット可物件で猫も飼える物件は1/4もない印象です。猫の飼育はハードルが高いと想定しておいた方が良いでしょう。
一人暮らしペット可物件の実情(1DK・1LDK) では一人暮らしでペットの飼える物件はどのくらい少ないのでしょうか?ポータルサイトで募集中の情報数から検証してみました。※調査日2022/09/29 15:00 ●SUUMO 「東京23区1DK1LDKペット相談可」の物件数 311,839件中、88,857件で 28.49% ●HOMES 「東京23区1DK1LDKペット相談可」の物件数 43,018件中、10,834件で25.18% ●athome 「東京23区1DK1LDKペット相談可」の物件数 60,121件中、14,773件で24.57%
1DK・1LDKで掲載されている物件の24%から28%がペット相談可能な物件でした。1R・1Kよりはペットが飼育できる物件は多くなりました。続いてペットの区分です。大手ポータルサイトでペットの種別まで指定できるのはathomeだけなので、athomeの検索でペットの種別を確認してみました。
athome 東京23区・1DK1LDK 60,121件 ペット相談可 14,773件(24.75%) 大型犬相談可 167件 全体の0.28% 小型犬相談可 3,697件 全体の6.15% 猫相談可 3,328件 全体の5.54% 区分未指定 7,581件 全体の12.61%
1DK1LDKということで部屋の広さが30㎡程度は確保出来るようになる為、全体的にペット可の物件は増加しています。大型犬が0.28%、小型犬が6.15%、猫が5.54%、要確認が12.61%という結果
ペット可物件の実情(全間取り)
最後に全間取りでペットの飼える物件はどのくらい少ないか検証しました。ポータルサイトで募集中の情報数から検証してみました。※調査日2022/09/29 15:00 ●SUUMO 「東京23区ペット相談」の物件数 1,293,764件中、279,155件で21.58% ●HOMES 「東京23区ペット相談」の物件数 216,593件中、39,367件で18.18% ●athome 「東京23区ペット相談」の物件数 263,277件中、46,870件で17.80%
全間取りで掲載されている物件の17%から21%がペット相談可能な物件でした。結果的に20%程度しかペット可物件がないことが分かります。続いてペットの区分ですが、大手ポータルサイトでペットの種別まで指定できるのはathomeだけなので、athomeの検索でペットの種別を確認してみました。
athome 東京23区・全間取り 263,277件 ペット相談可 46,870件(17.80%)
大型犬相談可 481件 全体の0.18% 小型犬相談可 11,675件 全体の4.43% 猫相談可 11,036件 全体の4.19% 区分未指定 23,678件 全体の8.99%
ペットが飼える物件が結構少ないという話を冒頭にガッツリといたしました。次に一人暮らしにペットを飼育した際、どのくらいの費用がかかるでしょうか?単身世帯の平均的な生活費にペットの飼育代をプラスしてシミュレーションしてみました。
実際に犬・猫を飼育した場合にどのくらいの費用がかかるかを調査しました。データは日本ペットフード協会の令和3年全国犬猫飼育実態調査を参照しています。
参照 日本ペットフード協会:令和3年全国犬猫飼育実態調査
【犬猫生涯必要経費】
ペットの飼育にかかる費用は主に餌やおやつですが、他にも病院にかかる費用、予防接種を受ける費用、去勢不妊手術費用、マイクロチップ装着費用、ゲージやトイレ費用、おもちゃ衣類費用などがあります。犬で13,000円弱、猫で9,000円弱と思ったよりもお金がかかります。
2021年度の単身世帯の家計調査(総務省2021家計調査より)のデータを見ると食費や光熱費、通信費や日用品など、1か月の生活費は95,237円ほどとされています。家賃衣類4,672円外食・交際費で2万円強など、とてもじゃないけど収まらないという人も多いのではないでしょうか。ちなみにもちろんこの費用に家賃は含まれていません。
【総務省:2021年単身世帯家計(抜粋)】
参照:総務省、2021年単身世帯 家計調査 家計収支編より
単身者の家計調査と犬猫飼育実態調査の結果から、家賃ごとの生活費+飼育費をシミュレーションしました。
家賃7万円の物件で 猫(外に出ない)の場合173,914円 小型犬の場合178,131円 家賃10万円の物件で 猫(外に出ない)の場合203,914円 小型犬の場合208,13円 家賃15万円の物件で 猫(外に出ない)の場合253,914円 小型犬の場合258,131円
という試算になりました。生活費+飼育費で全て使い切るということでは何かあったときに対応できませんので5万円から10万円程度は余裕を持ちたいところです。
犬、猫の飼育代、なかなかばかになりませんね。もう少しお金がかからず飼えるペットはいないでしょうか。人気のペットランキングを見ながら検討してみましょう。こちらも全国ペットフード協会の令和3年 全国犬猫飼育実態調査「主要サマリー」からペット現在飼育状況を参照しました。
ペット現在飼育状況
第1位 犬 (31.92%) 第2位 猫 (27.68%) 第3位 メダカ ( 9.89%)
第4位 金魚 ( 7.06%) 第5位 カメ ( 4.52%) 第6位 小鳥 ( 4.24%) 第6位 熱帯魚 ( 4.24%) 第8位 ウサギ ( 1.98%) 第9位 ハムスター( 1.69%) 第10位 その他魚 ( 1.41%)
第11位 鯉・錦鯉 ( 1.13%) 第12位 海水魚 ( 0.85%) 第13位 ヘビトカゲ( 0.56%) 第13位 カエル ( 0.56%) 第15位 フェレット( 0.28%) 第15位 モルモット( 0.28%)
その他 ( 1.69%)
参照 日本ペットフード協会 令和3年全国犬猫飼育実態調査 主要指標サマリーペット現在飼育状況
なんだか勝手な先入観で、フェレット・ハムスター・モルモット・ウサギを飼ってる人が多いイメージでしたが、結果は圧倒的に「魚」でしたね。魚類を全て足すと24.85%と根強い人気です。
ペット可物件の少なさ、ペット飼育にかかる費用、犬・猫以外のペットいろいろと解説してきましたが、なんだかとっても大変そうですね。ちなみにペット可ではない普通の物件で、黙ってペットを飼うのはどうでしょうか?犬猫以外ならなんだかバレなそうな気もします。実際どうなのでしょうか?
ペットの飼育を許可していない賃貸の契約には、ペットの飼育を禁止する条文が必ず入っています。つまりペットの飼育を禁止している物件でペットを飼うわけですから契約違反にあたります。この場合、大家さんや管理会社からペットの飼育をやめるように注意・警告がなされ、それでも是正されない場合は契約を取り消されてしまう可能性もあります。内緒でペットを飼い続け、後ろめたい気持ちのまま生活するのも落ち着かないはずです。ペットを飼育するなら必ずペット可の物件に入居しましょう。
犬・猫以外でも1日や2日ならバレないかもしれません。しかし賃貸の契約は2年から3年は平均して入居するものです。鳴き声や、匂い、あるいはゴミなどから、隣室の人や大家さんにバレてしまう可能性が高いです。犬・猫・蛇・鳥はハードルが高いですが、魚やカメなどは場合によってはペット可の物件でなくとも了承をもらえるかもしれません。その場合は必ず物件探しの際に、大家さんへ確認をとってもらい、相談できる物件のみを内見するようにしましょう。なお、無事に物件が決まった際は、契約書に特約としてペットの飼育を承諾した旨記載してもらいましょう。
重ねていいますが、黙ってペットを飼うのはどんな種類でも絶対にNGです!
ペット飼育可能な物件には、ペット飼育時「敷金+1か月」・「敷金償却1か月」などの条件がつくことがほとんどです。それぞれどのような意味合いなのでしょうか、しっかり解説していきます。
ペットの飼育時に敷金を+1か月とすることを条件にしているケースは非常に多いです。それはペットを飼育した場合は、退去時の原状回復費用が通常よりも高くなるからです。床や壁のキズ、臭いなども残る為、通常の敷金だけではまかなえない可能性がある為、+1か月余計に預かるというわけです。
敷金償却とは、退去する際に入居者に、敷金を返金しないことを意味しています。契約書には「退去時、敷金償却1か月」などと記載されます。この敷金償却には①原状回復費用を含むパターンと、②原状回復費用は含まないパターンがある為、しっかり確認が必要です。つまり敷金を10万円預けたとして、原状回復費用が仮に8万円かかったとして①の原状回復費用を含むパターンの場合、敷金償却1か月10万円で8万円分がまかなえる為、2万円が返却されないことになります。一方仮に12万円かかった場合は不足分の2万円を別途支払うことになります。敷金償却の一般的なパターンです。 ②原状回復費用を含まないパターンの場合はだいぶ変わってきます。敷金償却1か月とは別に原状回復費用の8万円がかかり、実際には礼金と同じ意味合いになるわけです。同じ敷金償却ですが退去時の負担が大きく異なりますので、しっかりと確認しましょう。
大変な話ばかり説明してしまいすみませんでした。でもペットを飼うということはそれだけ大変なことだということをお伝えしたかったのです。ペットは一度飼い始めてやっぱりやめたというわけにはいきません。大切な命を預かることになるのです。だからこそ物件探しのこと、契約のこと、生活費のこと、退去費用のことなどもしっかりと把握してほしい、そう思いこの記事を作成しました。ペットとの素敵な新生活が迎えられる助けになれば幸いです。最後までご覧いただきましてありがとうございます。
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