賃貸の設備の中でも、とても重要なキッチン。IHかガスキッチンかどちらがいいのでしょうか。IHキッチンは安全そうだけど火力に不安があるし、ガスキッチンだと火事が心配…いろいろと悩むところですよね。
この記事では賃貸のキッチンでIH・ガスどちらがいいか、それぞれのメリットデメリットや、ランニングコスト、募集物件の数などを多角的に比較してみました。あなたにぴったりなキッチンがきっと見つかります!
まず前提としてガスには都市ガスとLPガスがあり、都市ガスの方が安いです。賃貸の場合、LPガスから都市ガスへの切り替えを入居者の希望で行うことは出来ません。東京23区で多くの賃貸物件が都市ガスですが、稀にLPガスを使用する物件もあるので注意しましょう。
次に電気料金は通常料金と深夜料金とに分かれ、価格が変動します。電力会社によって様々なプランがありますので一度詳しく確認してみるといいでしょう。いずれにしても深夜から早朝(23:00から7:00)が最も安い時間帯であると言えます。
以上を踏まえ、1kwhあたりのエネルギー別の単価を調べました。 結果としてガスコンロの方が1kwhの単価が安いことがわかります。
ただしガスコンロの熱効率は約45%とあまり良くなく、比べてIHヒーターは約90%と言われている為、それらを加味した実質単価で比較しました。
結果として深夜から早朝(23:00から7:00)にかけてのみであればIHヒーターが最も安く、通常の時間帯(7:00~23:00)までの利用であればガスコンロの方が安いという結果になりました。
出典:石油連盟 1kwhあたりのエネルギー別単価比較・東京都(2023年2月28日)
それではここからはIHヒーターのメリットを解説していきます。
IHヒーターは火を使わずに鍋だけを発熱させるため、火災になる危険性は低いと言われています。またコンロから鍋を外すと加熱がストップするよう設計されているので、消し忘れも防ぐことができます。
IHヒーターは火力が弱いイメージがありますが、熱効率が良いため、実は立ち上がりが早く、熱しやすく、すぐに強火にすることも可能です。
IHヒーターは電気制御なのでガスと比較してより細かい設定が可能です。機種にもよりますが、メニュー別のアシスト機能があり、焼き物も揚げ物も、温度調整を自動で行ってくれたり、液晶パネルなどで調理手順を指示してくれるものもあります。
チャイルドロック機能や、こげつきお知らせ機能、空焼き自動OFF機能、鍋なし自動OFF機能などもちろん安全性能も優れています。
IHヒーターは掃除が楽。五徳などがなく天板がフラットなので、サッと拭くだけで綺麗に掃除することができます。ガスキッチンのように細かい奥の方に、焦げや油汚れがたまってしまうようなことがおこりません。
IHヒーターは電流を流すことで鍋自体を発熱させる敷くなので、周囲に熱がほとんど逃げません。夏場の暑い日でも快適に調理することができます。
続いてIHヒーターのデメリットを解説していきます。
IHヒーターは電力を使い加熱させますが、電力には容量が決められているため、同時に強火の調理ができないという特徴があります。3口同時に使用することはもちろんできますが、2口以上のコンロを同時に使用し、総商品電力量のピークを超えると、ブレーカーが落ちないよう、IHヒーターの火力を自動制御するよう設計されています。
IHヒーターは、鍋が直接プレートに触れていないと火力を伝えられません。チャーハンやパスタをフライパンを振りながら調理するということがしにくいという特徴があります。最新機種の中には光センサーが搭載され鍋が離れている間はOFF、再び接した際に素早くONなど、鍋振り調理を可能にしているものも出始めていますが、まだまだ少ないのが現状です。
IHヒーターは電気を流し発熱させる仕組みなので、アルミや銅、土鍋など使えないものがあります。IHヒーター対応の鍋やフライパンに買い替えなければならない点に注意が必要です。
IHヒーターは電気を使うので、停電になると当然使うことができません。短期で解消される停電の場合はまだ良いですが、台風や地震などの大規模災害による停電の場合、復旧に時間がかかることもあり、その間調理ができない可能性があります。
電気は日中使用すると料金が高くなります。電力会社との契約内容によっても異なりますが、日中の利用が多い場合は割高になる可能性があります。気になる方は現在契約しているプランを確認し、自分にあったものへ変更するなど対策を講じましょう。
IHヒーターは普及してきているとは言え、まだまだガスキッチンと比べれて物件数が少ない傾向があります。IHヒーターに絞って物件を探すと選択肢が狭まる可能性がある点、賃貸では特に注意が必要です。
下の画像はsuumoにてIHシステムキッチンの物件とガスシステムキッチンの物件を検索した結果です。ガスシステムキッチン910件に対し、IHシステムキッチンは205件という結果でした。ガスキッチンの22.5%程度しかIHシステムキッチンの物件がないという点は物件を探す上でも影響が大きいため、無視できません。
検索条件「駅:東横線学芸大学駅 築年数10年以内 間取り1LDK 床面積30~45㎡」
※画像参照:suumo
次にガスコンロのメリットを解説していきます。
ガス料金は都市ガス・LPガスともに、何時に利用しても料金は同じです。一方電気料金は日中高く、夜間は安く設定されています。ガスコンロであれば使用する時間を気にせず料理ができ、また調理にかかる光熱費の管理もしやすいと言えます。
ガスコンロは火で調理することができます。火の強さを直接見て判断できる点は大きなメリットと言えます。もちろん慣れもありますが直観的に調理することができるのはガスコンロのメリットです。
ガスコンロは2口でも3口でも同時に強火で調理することが可能です。先程解説したIHヒーターは電力総消費量に制限があるため、2口同時に強火にすることができないというウィークポイントがありました。ガスコンロなら気にせず火力を使うことができます。
中華鍋などでの鍋振りやあおり調理はガスキッチンならでは。IHヒーターは、鍋が直接プレートに触れていないと火力を伝えられないため、鍋振り調理ができません。
ガスコンロは火で直接加熱するため、調理器具を選びません。鉄やステンレス、銅や、アルミ、土鍋など様々な素材の鍋が使用できます。今まで使っていたものも、そのまま利用でき買い替えの必要がありません。
ガスコンロの多くは、電池を利用して着火させるため、停電時も調理することができます。地震や台風などの大規模災害での停電は、復旧に時間がかかる恐れがありますが、コンロで調理ができることで、お米を炊いたり、お湯を沸かしたり様々なことが可能となります。
最後にガスコンロのデメリットを解説していきます。
ガスコンロは直接火を扱うことから火災の危険性があります。消防庁の令和2年消防白書によると、コンロからの火災は、2,918件で全火災の7.7%を占めています。
その中でも、ガスコンロによる火災が2,497件と最も多い結果でした。電気コンロは248件でしたので11.7倍のリスクがあると言えます。主な経過別出火原因は消し忘れによるものが1,355件と最も多く、IHの自動制御機能があれば防ぐことができた火災と言えます。
最近は全てのガスコンロにSiセンサーという消し忘れ防止機能がついていますが、古いタイプのガスコンロにはSiセンサーが搭載されていない場合があります。内見の際にしっかり確認しましょう。
参照:消防庁 令和2年消防白書
ガスコンロは火を使って調理するため、周辺にも熱が伝わりやすく、火傷をしてしまう危険性があります。周辺のビニール袋や、雑巾、衣類などに燃え移ってしまう恐れがありますので十分注意が必要です。
ガスコンロは直接火を使うため、調理中、調理後に熱が出て、周辺の温度が上がります。賃貸物件のキッチンは省スペースに作られていることも多いので、熱がこもりやすく、特に夏場は暑さでかなり辛いことにも。
ガスコンロには「ゴトク」と呼ばれる火が出る部分があり、複雑な形状をしていることから、焦げや汚れを掃除しにくく手間がかかります。フラットな天板を拭くだけのIHヒーターと比べるとなおさらです。
最後にここまで解説してきた光熱費や、IH・ガスコンロのメリットデメリットをまとめました。
以上、賃貸のキッチンIH・ガスどっちがいい?についての記事でした。
自炊をしない人にとっては、どちらでもいいキッチンのタイプですが、お料理好きの人にとっては、重要な選択です。
ガスコンロにせよIHヒーターにせよ、機種によって機能に違いがあります。特に安全性能については、万が一の際に命に関わる重要なポイントになります。内見の際に品番を写真にとっておくなど、しっかりと確認することをおすすめします。
IHヒーターかガスキッチンのどちらがいいかは、ライフスタイルによって変わってくるはずです。自分に合ったキッチンを選ぶようにしましょう。
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それでは最後までご覧いただきありがとうございました。
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